ページ

2010年8月4日水曜日

「情報化時代」のツールとは何か?

 今日の情報化時代は、新しい方向性が見えにくい。経営の見える化において、指標と共に数値化され、経営の合理化をはかってきた。「情報を征するモノがビジネスを征する」と言われ、IT技術が日進月歩のごとく進化していると多くは考えられている。しかも、この情報戦線を勝ち抜かなくてはならないという号令のもとに、結果主義、成果主義が唱われている。では、その情報化時代のツールとは何か。

 時代の流れが比較的緩やかな場合は、全体として向かうべき方向性がわかりやすく、隣人とも共有しやすい。しかし、時代の流れが急激な変化を伴うと全体としての方向性が浸透する前に、細かく舵を切らなくてはならない場合はそうもいかない。人間が自然と共有するためのバッファが少ない。全体で共有する前に、すぐに目の前の危機に対応する必要がある。それは、大型の船で氷河を避けながら運航するようなものである。しかも、これには一定以上の能力を要するように、舵取りには職人技を要する。であれば、個々の方向性を持った中型、もっと小回りの良い小型の船(または舟)に乗り換えた方が、船を先に進めることについては合理的であると言える。

 しかし、実際は大型の船を操る理論で、この激流とも言える流れを乗りこなすことが、社会の風潮としてあるのではないだろうか。目先の対応に追われ、根本的に考える能力が欠如しているように感じる。ここで必要な事は「現状認識」である。「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」をどう理解するかである。。ここでは敵を知るとは、対象とした相手でなく「環境および状況」適切に判断することであると捉える。現状をしっかりと受け取らないと、正しい判断はできない。情報化時代にまず必要なことは、正しい認識を基にした判断ではないだろうか。

 それは、正しく「情報化時代を」を認識することでもある。ここでは、見えない敵を打ち負かすという発想を遠ざけたい。見えないモノを擬似的に可視化することも、誤った判断、求めている結果と逆なモノを引き寄せてしまうからである。巷で言われる「成果主義」は、正論のように映るが、少なくとも日本企業でこの導入は、大切なモノを破壊し、不治の病「エイズ」にかかった病人のようになっていると思われる。これは企業の現代病である。この感染を避けるためには、正しい認識と、正しい判断を持ち、さらに掘り下げる姿勢が重要である。現代の情報化時代における身につけるべきツールとは、ITのスピードを加速させ、人間の判断力を超えて決断を迫るツールでなく、自分のスタイルを維持するために、判断力をしっかりと構築することである。この対応こそが、情報化時代をむやみに暗黒時代にしないための、必要な態度、必要なツールなのではないだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿